VW T-Cross 試乗記
フォルクスワーゲン T-Cross試乗記
TSI 1st Plusに試乗。長期試乗記は続編に続きます
昨年11月に発表されたフォルクスワーゲンのコンパクトSUV 「T-Cross」。
報道関係者向けに昨年12月初旬に行われたプレス試乗会でのインプレッションをお届けします。今後は長期インプレッションも敢行致しますのでお楽しみに。
世界的に人気を博しているSUVですが、フォルクスワーゲンの最新モデルがコンパクトSUV「T-Cross」です。フォルクスワーゲンのSUVラインナップの末っ子となる同車は、ハッチバックモデルである「ポロ」の美点を伸ばした発展版といえる部分もありますが、それとはまったく違ったクルマでした。
全長4115mmとコンパクトサイズ。日本国内での取り回しも良好。
筆者が試乗を行ったのは、インポーターの広報車両。偶然にも、報道関係者記者会見会場でお披露目されたクルマそのもので、カラーは「マケタナ―コイズメタリック」。TSI 1st Plusは、3色の18インチホイールが選択可能ですが、取材車にはブラックが装着されており、ボディ下部をピリッと引き締めています。
横一文字のテールランプはLED。車名もセンターに配置される。
リアエクステリアも全てが新しいという印象を受ける。
アルテオンや、新型ゴルフ8(日本未導入)と同じく車名のエンブレムは中央に配される。
T-Crossを停めてエクステリア/インテリアを細部まで観察すると、前部にアンダーカバーを思わせるデザイン処理を施し、ボディ下端にはホイールアーチに至るまで樹脂モールで覆うなど、よくあるシティユースSUVにみえます。
このクルマは、悪路を走破するような泥臭いシーンを匂わすところが皆無。カジュアルでさらりと着こなせそうな気軽さがあります。さらにベースとなったポロの美点、たとえば兄貴分の「ゴルフ」と基本骨格であるMQBプラットフォームを共有したことによる不安のない走行性能は、既存のシティユースSUVよりも信頼度が高といえます。
力強いボンネットと両サイドにLEDヘッドライトが組み込まれた幅広いラジエーターグリルを特徴とするとともに、リアエンドでは横幅一杯に広がる帯状のリフレクターがT-Crossの幅を視覚的に幅広く見せる。
ヘッドライトはフルLEDを採用。ライトオフでもライン状の高輝度LEDが他車からの視認性を高める。
ターンシグナルもLEDを採用している。
リアコンビネーションランプも鮮やかなLEDを採用。ターンシグナルはS25のハロゲン。
TSI 1st Plusは、18インチホイールを装備。カラーは3色から選択可能。
搭載エンジンはー直噴直列3気筒1.0リッターターボ。最高出力115PS/5500rpm、最大トルク200Nm/2000-3500rpmのエンジンパワーは7速DSGを介して前輪を駆動します。
小排気量ターボにありがちな「踏み込んでも加速が得られず、回転が上がるまで待つ必要がある」とか「アクセスを床まで踏み込んで、キックダウン。エンジン回転が急に上がって・・・」といったストレスや安っぽさがなく、限りあるパワーを余すところなく使い切ることができます。
ボタン式スターターを押しエンジンを始動。直列3気筒1.0リッターターボエンジンは、非常に静粛性が高いのには驚きました。
街中では、早めにシフトアップを繰り返す7速DSGにより、巡航時はおおよそ1500rpm程度で事が足りています。AW型ポロと同じエンジンですが、T-Crossはパワー&トルクともに最大値だけでなく常用域も力強く爽快です。しかし、カジュアルなルックスとは裏腹に乗り味はシャキッとしていて俊敏。正直、脚はかなり硬め。ポロの味付けとはまるで異なります。(ポロGTIと同等?と思ったほどですから。)
空いた郊外に出て、60Km/h程度で流しました。場所によってアップダウンが激しく路面もところどころ荒れていて、タイとコーナーが連続する区間もありました。ここでは硬い、いや、減衰特性に優れたサスペンションに助けられ、コーナーでは外側にしっかりと荷重をのせながら控えめなロール量でクリアしていきます。高速道路では、減衰力が高めのサスペンションがフラットな乗り心地を提供してくれます。80Km/hからの追い越し加速でもマニュアルシフト操作でダウンシフトさせることで、アクセル操作に対してイメージ通りのタイミングで加速力を高めることも可能でした。
急勾配でもパワー不足を感じることはなく、適切なギヤ比で振り分けられた7速DSGに助けられ、日本国内では、ゆとりさえ感じます。(当日の試乗は筆者とカメラマン+機材)
100Km/hでの静粛性の高さは特筆もの。巡行時のエンジン回転数は7速で、2300rpm。ドイツ本国では150Km/h以上の巡行も当たり前のため、日本国内では、ドライバーに速度感もなく、安楽にどこまでも走っていけそうな気分にさせてくれます。
燃費も素晴らしく、街乗り10%、郊外70%、高速道路20%の試乗でも計器が示す平均燃費は16.5キロでした。
AWポロと共通している部分も多いが、カジュアルなインテリア。
ダッシュボードには、独自の加工が施されている。
メーターはAWポロと共通。本国にはフル液晶メーターも存在する。日本導入も遠くはないだろう。
フォルクスワーゲンでは最も目新しいのがシフトレバー。握り手にシフトポジションが表示。
スマートフォンの無接触充電Qi規格に対応。センターコンソールに置くだけで充電可能。
リアシートはクラス最大。140mmのスライド機能が備わる。
計器回りはAW型ポロのデザインとほぼ同じですが、DSGのシフトレバーは、刷新されました。握り手部分にシフトポジションが表示され、常にレッドの透過照明が輝きます。後席では140mmの前後スライド機構を持ち、身長170センチの筆者では、脚が組めるほどの広さです。ラゲッジスペース容量は385L~455L。後席シートバックを倒せば1281Lまで拡大できるのもコンパクトなボディからは想像もつかないものでした。(全長×全幅×全高:4115×1760×1580mm)
飽和状態の国内コンパクトSUV市場に対して、ゴルフ譲りのMQBプラットフォームの高い安全性と俊敏なハンドリング、クラス最大のリアシート、455Lを誇るラゲッジルームと魅力満載のT-Cross。これは一石を投じる一台になりそうです。
フォルクスワーゲングループジャパン株式会社 http://www.volkswagen.co.jp/
TSI 1st Plusに試乗。長期試乗記は続編に続きます
昨年11月に発表されたフォルクスワーゲンのコンパクトSUV 「T-Cross」。
報道関係者向けに昨年12月初旬に行われたプレス試乗会でのインプレッションをお届けします。今後は長期インプレッションも敢行致しますのでお楽しみに。
世界的に人気を博しているSUVですが、フォルクスワーゲンの最新モデルがコンパクトSUV「T-Cross」です。フォルクスワーゲンのSUVラインナップの末っ子となる同車は、ハッチバックモデルである「ポロ」の美点を伸ばした発展版といえる部分もありますが、それとはまったく違ったクルマでした。
全長4115mmとコンパクトサイズ。日本国内での取り回しも良好。
筆者が試乗を行ったのは、インポーターの広報車両。偶然にも、報道関係者記者会見会場でお披露目されたクルマそのもので、カラーは「マケタナ―コイズメタリック」。TSI 1st Plusは、3色の18インチホイールが選択可能ですが、取材車にはブラックが装着されており、ボディ下部をピリッと引き締めています。
横一文字のテールランプはLED。車名もセンターに配置される。
リアエクステリアも全てが新しいという印象を受ける。
アルテオンや、新型ゴルフ8(日本未導入)と同じく車名のエンブレムは中央に配される。
T-Crossを停めてエクステリア/インテリアを細部まで観察すると、前部にアンダーカバーを思わせるデザイン処理を施し、ボディ下端にはホイールアーチに至るまで樹脂モールで覆うなど、よくあるシティユースSUVにみえます。
このクルマは、悪路を走破するような泥臭いシーンを匂わすところが皆無。カジュアルでさらりと着こなせそうな気軽さがあります。さらにベースとなったポロの美点、たとえば兄貴分の「ゴルフ」と基本骨格であるMQBプラットフォームを共有したことによる不安のない走行性能は、既存のシティユースSUVよりも信頼度が高といえます。
力強いボンネットと両サイドにLEDヘッドライトが組み込まれた幅広いラジエーターグリルを特徴とするとともに、リアエンドでは横幅一杯に広がる帯状のリフレクターがT-Crossの幅を視覚的に幅広く見せる。
ヘッドライトはフルLEDを採用。ライトオフでもライン状の高輝度LEDが他車からの視認性を高める。
ターンシグナルもLEDを採用している。
リアコンビネーションランプも鮮やかなLEDを採用。ターンシグナルはS25のハロゲン。
TSI 1st Plusは、18インチホイールを装備。カラーは3色から選択可能。
搭載エンジンはー直噴直列3気筒1.0リッターターボ。最高出力115PS/5500rpm、最大トルク200Nm/2000-3500rpmのエンジンパワーは7速DSGを介して前輪を駆動します。
小排気量ターボにありがちな「踏み込んでも加速が得られず、回転が上がるまで待つ必要がある」とか「アクセスを床まで踏み込んで、キックダウン。エンジン回転が急に上がって・・・」といったストレスや安っぽさがなく、限りあるパワーを余すところなく使い切ることができます。
ボタン式スターターを押しエンジンを始動。直列3気筒1.0リッターターボエンジンは、非常に静粛性が高いのには驚きました。
街中では、早めにシフトアップを繰り返す7速DSGにより、巡航時はおおよそ1500rpm程度で事が足りています。AW型ポロと同じエンジンですが、T-Crossはパワー&トルクともに最大値だけでなく常用域も力強く爽快です。しかし、カジュアルなルックスとは裏腹に乗り味はシャキッとしていて俊敏。正直、脚はかなり硬め。ポロの味付けとはまるで異なります。(ポロGTIと同等?と思ったほどですから。)
空いた郊外に出て、60Km/h程度で流しました。場所によってアップダウンが激しく路面もところどころ荒れていて、タイとコーナーが連続する区間もありました。ここでは硬い、いや、減衰特性に優れたサスペンションに助けられ、コーナーでは外側にしっかりと荷重をのせながら控えめなロール量でクリアしていきます。高速道路では、減衰力が高めのサスペンションがフラットな乗り心地を提供してくれます。80Km/hからの追い越し加速でもマニュアルシフト操作でダウンシフトさせることで、アクセル操作に対してイメージ通りのタイミングで加速力を高めることも可能でした。
急勾配でもパワー不足を感じることはなく、適切なギヤ比で振り分けられた7速DSGに助けられ、日本国内では、ゆとりさえ感じます。(当日の試乗は筆者とカメラマン+機材)
100Km/hでの静粛性の高さは特筆もの。巡行時のエンジン回転数は7速で、2300rpm。ドイツ本国では150Km/h以上の巡行も当たり前のため、日本国内では、ドライバーに速度感もなく、安楽にどこまでも走っていけそうな気分にさせてくれます。
燃費も素晴らしく、街乗り10%、郊外70%、高速道路20%の試乗でも計器が示す平均燃費は16.5キロでした。
AWポロと共通している部分も多いが、カジュアルなインテリア。
ダッシュボードには、独自の加工が施されている。
メーターはAWポロと共通。本国にはフル液晶メーターも存在する。日本導入も遠くはないだろう。
フォルクスワーゲンでは最も目新しいのがシフトレバー。握り手にシフトポジションが表示。
スマートフォンの無接触充電Qi規格に対応。センターコンソールに置くだけで充電可能。
リアシートはクラス最大。140mmのスライド機能が備わる。
計器回りはAW型ポロのデザインとほぼ同じですが、DSGのシフトレバーは、刷新されました。握り手部分にシフトポジションが表示され、常にレッドの透過照明が輝きます。後席では140mmの前後スライド機構を持ち、身長170センチの筆者では、脚が組めるほどの広さです。ラゲッジスペース容量は385L~455L。後席シートバックを倒せば1281Lまで拡大できるのもコンパクトなボディからは想像もつかないものでした。(全長×全幅×全高:4115×1760×1580mm)
飽和状態の国内コンパクトSUV市場に対して、ゴルフ譲りのMQBプラットフォームの高い安全性と俊敏なハンドリング、クラス最大のリアシート、455Lを誇るラゲッジルームと魅力満載のT-Cross。これは一石を投じる一台になりそうです。
フォルクスワーゲングループジャパン株式会社 http://www.volkswagen.co.jp/