メルセデスベンツ「E350BT」
メルセデスベンツE350 ブルーテック ステーションワゴン アバンギャルド試乗記
620N・mの大トルクを生み出すブルーテックの魅力。
E350 ブルーテック ステーションワゴン アバンギャルド の広報車両をメーカーより借用し、市街地、ハイウェイを試乗してきました。
同社は久々の輸入車ディーゼルとして2007年に発売され、大きな話題となりました。実はメルセデス・ベンツは1936年に世界で初めてディーゼル乗用車を発売しました。ガソリンエンジンと並ぶ主力エンジンとして、中核モデルに搭載しており、主にミディアムクラスに好まれた。
ステーションワゴンとしては実にスタイリッシュで、伸びやかなスタイリング、リアフェンダー上のプレスラインの造型はさすがこのクラスの王道といえるものです。
エンジンを始動させると「BMW」のディーゼルエンジンより若干、車外での「カタカタ」音が大きめのため、すぐにディーゼルエンジンであることが分かります。しかし、ひとたび、分厚く遮音性に優れたドアを閉めると、その音はまるで耳に届きません。ディーゼル特有の振動も皆無で、同乗者にはガソリン車と区別が付かないものと思われます。
●街乗り
アクセル開度を抑え走り出しても、粘りのあるトルクが1980kgの車重をまるで感じさせず、グイグイ速度を増していきます。街中ではアクセルを踏むというより、乗せているだけで全て足りてしまうといった安楽さです。
意外なのは、足回りがエレガントなボディとは裏腹に固めの設定であること。これはノーマル設定でも結構なダンピングを感じ、往年のドイツ車のような懐かしさを思わせるものでした。
静粛性の高さは、相変わらず車内に居る限りディーゼルエンジンであることはまるで感じないほど。
●ハイウェイ
高速道路に乗ると、まるでスポーツカーのような要求をクルマがしてきます。それは、“もっとアクセルを踏んでくれ!”という危ない誘惑です。
料金所のゲートを抜け、アクセル開度は三分の一程度でも、「ゴワーッ」という怒涛のトルクが湧き上がり、ステアリングだけが先に行ってしまいそうな加速・・・。
本線に合流して前方が空いているのを確認し、アクセルを深く踏み込むと、一瞬のターボラグのあと、620N・mという6リッターエンジン並の怒涛のトルクの波がドライバーを飲み込み、ブラックの本革シートに身体を強く押さえつけられます。この状態が、まるで航空機のように長時間続くため、速度計をちら見すると、途方もない速度に到達しており、あわててブレーキを踏み込んだほど。
ブレーキもフロントは、ドリルドディスクに4ピストン対向キャリパーが装備され、日本の高速道路では、有り余るキャパシティです。100km/h巡航時の回転数は7速トップで1600回転くらいですので、静かで安楽なのは言うまでもありません。
法定速度で流していると、なぜか筆者がよく煽られる国産T社の“90マイナス4”という車名を付けたスポーツクーペが「ベンツのワゴン退けよ!」というごとく左右に頭を振りながら、煽ってきました。安楽に走ろうと思いましたが、筆者も40半ばだというのに、まだ子供です。ついアクセルを底まで踏みつけると、4500rpmまでキッチリ回り、620N・mの大トルクが炸裂。コーナーでは相手になりませんが、直線での勝負は言うまでもありません。数秒後にはルームミラーでその車体が確認できないほど、引き離してしまった。同社のオーナーは以後、E350 ブルーテック ステーションワゴン アバンギャルドのヒップに付いても煽ることは無いでしょう。
リアの灯火類も特徴的な発光をするLEDテールランプ。
試乗の間ですが、平均燃費はリッター11キロ前後。2tもあるクルマにしては、立派な数字です。
速度計内には、多岐の情報を表示できるカラーディスプレイを装備。
長い歴史をもつ欧州のディーセル技術。日本の技術もまだまだ欧州の自動車メーカーには適わないでしょう。E350 ブルーテック ステーションワゴン アバンギャルド本当に素晴らしいクルマでした。
メルセデス・ベンツ日本株式会社http://www.mercedes-benz.co.jp/