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VW「パサート」徹底研究

フォルクスワーゲン「パサート」2012年モデル試乗記

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フォルクスワーゲンの国内最上級クラスとして君臨する「パサート」。
ボディタイプは、セダンとワゴンタイプのヴァリアント、グレードは、ベースモデルの「TSI Comfortline」とアッパーモデルの「TSI Highline」が選択できる。これまで、「パサート」といえば、ワゴンタイプの「ヴァリアント」が日本国内では人気だったが、新型「パサート」では、セダン人気も注目を浴びている。今回は、このパサート2012年モデルの試乗記をお届けする。

■エクステリアチェック■

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全幅は1820mmと堂々たるサイズ。昨今のVW車らしくシャープで、前衛的なマスク。

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老若男女誰が見ても、高級車であると認知してもらえるスタイリッシュスタイル。

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全長は4785mm、ホイールベースは2710mm。Dセグメントに属するサイズである。

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先代のアグレッシブなスタイルから一新、上質な高級車というイメージの強い「パサート」。

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Start/Stopシステムやブレーキエネルギー回生システムの「BlueMotionテクノロジー」を全車に搭載。エンブレムも後方右側に貼られている。

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タンク容量は70リットルで、ハイオクガソリン指定。満タンで東京から九州まで走れる省燃費性能を誇るのが、「パサート」である。キャップはセンターロック連動式で、以前のようなスイッチで解除するものではない。

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アルミホイールは独「ロナール」社製。タイヤは235/45R17とワイドなものを装備する。

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フロントキャリパーはシングルのフローティング式であるが、効きは強力。体験談ではあるが、「新東名高速道路」をドイツ本国に近い速度(ナイショ)で巡航中、前方にトラックが割り込まれフルブレーキの状態で、ステアリングを切り回避したが、空気の壁に当たったかのように速度を削り、さすがに速度無制限の国のクルマであると実感した。

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直列4気筒DOHC16バルブICターボは、最高出力122ps(90kW)/5000rpm、最大トルク20.4kg・m(200N・m)/1500~4000rpmを発生させる。排気量は、ダウンサイジングという言葉を世間に知らしめたもので、たった1389cc。

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10・15モード燃費では、18.4km/リットルの省燃費性を実現しているため、お国の決めたご覧のステッカーが貼られている。このクルマには似合わないデザイン・・・。

■灯火類をチェック■

先代モデルの丸みを帯びたボディラインから一転、各部にエッジを利かせ、よりいっそう、高級感を向上。フロントマスクは、ワゴンタイプの「ヴァリアント」と共通だが、バイキセノンランプと、それを取り巻くLEDポジションランプが、精悍な印象を与える。スポーティな雰囲気は、先代に軍配が上がるが、新型「パサート」では、老若男女、高級車であるということに説明は要らない堂々たる存在感だ。

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VWでは、すっかり定着したLEDポジションランプ。

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バイキセノンランプロービーム点灯。(バイキセノンランプは2灯式であり、HI/LOW/パッシング)

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バイキセノンランプハイビーム点灯+ターンシグナル点灯(電球式)

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空力特性を考慮したサイドミラー。高速域でも風切り音は最小限である。

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サイドウインカーは4個の高輝度LEDにより、視認性も高い。

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リアコンビネーションランプはLEDを採用。夜間は妖艶な輝きだ。

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ターンシグナルは先代ではLEDであったが、コストダウンであろうか、電球式となった。

■インテリアチェック■

乗員が快適に過ごすための機能は、全て備わるといっても過言ではない。質感の高いナパレザーを採用したコンフォートシートには、シートヒーターを始め、メモリー機能付き8ウェイパワーシートを採用。(TSI Highlineに装備)また、遮音性に優れた3層構造のフロントウインドウ、上質なウッドパネルや、センターコンソール上部のアナログ時計など車両価格以上の満足感が得られる。メーターデザインは、先代から踏襲された埋没式を採用し、周囲の明るさに応じて、照度を無段階で調整する常時点灯式を採用。白色LEDの盤面は視認性にも優れ、質感も申し分ない。

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金属キーを持たないエレクトロニックキーを採用。ドア、テールゲートの開錠を行える。

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ダッシュボードのスロットルに差し込むことでエンジンを始動させる。

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シートは高級車に見合ったナパレザーを使用。色合い、肌触りは申し分ない。

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8ウェイのパワーシートを前席に装備している。運転席にはメモリー機能を備え、シートやドアミラーの位置を記憶。家族で乗り換える場合には、非常に便利な機能だ。

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エレクトロニックパーキングブレーキを採用。スイッチひとつで、パーキングブレーキの作動、解除が可能。ホールド機能を作動すれば、停車時にブレーキから足を離しても、ブレーキがロック。

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アルミ調パネルには、2ゾーンフルオートエアコンを装備。左右のスペースをそれぞれ独立した温度設定が可能。またセンサーが内蔵され、排気ガスなどを感知すると自動的に内気循環に切り替わる。

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タッチパネルのディスプレイにはカーナビゲーションをはじめ、USB入力やSDカードスロットも備え、多くのデバイスに対応している。

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トランクルームの開錠はVWのエンブレムに手を入れると軽く持ち上がる。

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ラゲッジルームはとにかく広大。乗員分の旅行かばんなど余裕をもって飲み込む。

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天井部分には緊急停車時の反射板が備わる。

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ラゲッジルーム内のレバーを手前に引くだけで、60:40に分割して後席を倒す事が出来る。

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60分割の状態。これだけでも空間を有効に使うことができる。

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後席を全て倒した状態。トランクスルー状態のため、長ものの積載も容易である。

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踏襲された埋没式のメーター類。夜間はLEDを光源としたホワイト&レッドの指針が浮かび上がる。

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Start/Stopシステム(アイドリングストップ)機能が働いている状態では上記の表示となる。

■インプレッション■

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1.4Lエンジンであるが、2.0L以上のトルクを発生させるエンジンは十分速く、思わず眺めてしまう筆者。

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2012年モデルからは、更なるエコロジー技術として、走行中、ドライバーがアクセルから足を離すと、7速DSGトランスミッションとエンジンとの駆動を完全に切り離すことにより、走行時の抵抗を軽減。鉄道車両のような惰性状態となり、(コースティング走行モード)燃料消費を抑える。

今回は、コースティング走行モードを備えた2012年モデルのパサート「TSI Highline」の広報車両をインポーターから一週間ほど借用し、多岐にわたるテストを敢行した。

パサートは、全車、乾式の7速「DSG」トランスミッションを採用している。多くのエンジンと組み合わされるこのトランスミッションだが、パサートとの組み合わせがもっとも滑らかという印象を感じた。
動き出した瞬間も“骨っぽい”感触は皆無で、ミリ単位のアクセル開度でも“スウィっ”といった滑らかさで、一般的なトルクコンバーター式のオートマチックより、スムース。

数字が大好きな日本人にとりまして、1.4Lエンジン、122馬力というスペックにこの価格は?と思われる方が多いと思う。しかし、このクルマ“乗れば凄いんです。”
一例として、幹線道路の信号で停車。同車に採用されている「ブルーモーションテクノロジー」はアイドリングストップ機能を備えるので、頻繁にエンジンを停止させる。信号が青にかわり、ブレーキから足を離すと電光石火でエンジンが静かに始動し、アクセルをごく普通に踏んでも、もりもりのトルクで周囲の交通を置き去りに出来る。

なぜ、たった1.4Lエンジンでこのパワー感を生み出せるのかというと、1250rpmという低回転から最大トルクの80%を発生。しかも、最大トルクは、20.4kgmと2Lエンジンを凌ぐ。このトルクを1,500‐4,000rpmで持続するため、ゴー&ストップが多い街中でも、非力と感じたことは皆無。

1.4L、122馬力のクルマがハイウェイで大きな顔をして走れるの?と何人もの方に聞かれた。
では、御殿場ジャンクションから、三ヶ日ジャンクションまで「新東名高速道路」162キロを往復走った。

全幅1820mm、全長4785mmという堂々たるボディは、ルックス的には高級車そのもの。視覚的に、高速道路上では非常に優位で、先行するクルマたちは、暗黙の了解といった感じで道を譲る。時速70km/h~100km/hといった追い越し加速では、ちょうどこのクルマの最大トルク20.4kgmを発生しているため、スーッと速度計の針だけが上昇し、ドライバーは安楽そのもの。排気量だの、馬力だのといったことは、すぐに忘れてしまう。
極めて高い安定性は、速度感がないため、アクセルに右足を乗せているだけで、さらに速度がスルスルと上昇し、速度計の針を一瞬みて、“日本離れ”した速度に達していることもしばしば。そのあたりはさすがドイツ車だ。

ただ、このエンジン、アクセルを底まで踏み込み、レッドゾーンまで回すといった走り方をしても、あまり意味がなく、5000rpmあたりの高回転域では、トルクの落ち込みが顕著に表れる。実際、そこまでエンジンに鞭を打たなくても、「新東名高速道路」162キロ間の走行では、非力と感じたことは、一度もなく、むしろ油断をしていると、速度オーバーになり、覆面パトカーの存在に気を使っていたほど。

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ハイウェイをハイスピードで走っても、ご覧のとおり20.3km/Lを記録。

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実用性もピカイチなのはさすがフォルクスワーゲン。特にラゲッジルームの広大さは驚くべきもので、170センチ弱の筆者などカンタンに納まってしまう。(広報部様、靴はちゃんと脱ぎました。)

極めて高い安全性、所有する満足感と高級感を備えながらも、ダウンサイジングエンジンで極めて高い省燃費性を実現した「パサート」。高級サルーンとしての使い方を毎日行っても不満は見当たらず、コンスタントに15km/Lもの高燃費を記録してくれたパサート「TSI Highline」。
これぞ、フォルクスワーゲンが提唱する高級車の姿であると共感し、試乗を終えた。

 

関連記事:フォルクスワーゲン新型「CC」徹底研究

http://s-togawa.blog.so-net.ne.jp/2012-09-09

VW-715c0-78719.jpgフォルクスワーゲン グループ ジャパン株式会社 http://www.volkswagen.co.jp/


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