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クラシック 「MINI」のススメ!

運転の楽しさを教えてくれるローバー「MINI」メイフェア改に乗る。

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元祖小型車といえる「MINI」。イギリスブリティッシュ・モーター・コーポレーションの技術者である「アレック・イシゴニス」を中心としたエンジニアチームによって設計された独自の設計は、エンジン、ミッション、デフを一体化させた。自動車史上初のFF(前輪駆動)を採用したもので、現在でもそのキュートなスタイリングと機敏な動力性能で多くのマニアを魅了している。4気筒エンジンを横置に搭載するという画期的なメカニズムは当時、革新的であり、ボディの4隅にタイヤを設置するレイアウトでロングホイールベース化を実現。4輪独立懸架サスペンション、10インチホイールのタイヤによる低重心は、走行安定性、卓越したコーナリング性能をもたらす。極めて小さなボディサイズと大人4人と荷物を搭載出来、経済的であるコンセプトはその後、数多くの小型車誕生へ影響をもたらしたといわれている。

今回は、ローバー「MINI」メイフィアをベースにクラシカルに仕上げた友人の車両を借用し、細部をチェックしてみた。

●40年間も変わらぬ姿で発売された「MINI」●

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全長3,051mm、全幅1,410mm、全高1,346mmと非常にコンパクト。ホイールベースは2,036mmを確保している。一見すると、ハッチバックにみえるが、トランクは独立している。

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オリジナルでは、145/70SR12を採用。取材車は10インチにインチダウン化されている。

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フロントブレーキはディスクで英国「ap」社製のキャリパーを備える。倍力装置は装備されるが踏み応えは相当なもの。踏力に比例し、制動が立ち上がるフィーリングは、慣れれば人車一体感を味わえる。車体重量680kgに対しては、十分過ぎる制動性能を発揮し、山で少々遊んだ程度では、根を上げないタフなもの。

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オーナーのセンスで、フェンダーミラーを装備。小ぶりであるが、視認性は小さなボディには十分。

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Aピラーにも補助ミラーを装備。これが意外なほど、視認性が高いものである。

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水冷直列4気筒OHVエンジンは、最高出力42ps(31kW)/5250rpm、最大トルク6.8kg・m(66.7N・m)/2600rpmを発揮。総排気量999cc、圧縮比9.6。SUキャブレターを搭載。ラジエーターはサイドに装備され、エンジン内の熱を外部に放出するというユニークな構造を持つ。エンジンを横置きに設置して、トランスミッションをオートバイと同じように、エンジン下部のオイルパン内部に置き、2階建て構造としているため、エンジンオイルで共通潤滑する構造としている。そのためエンジンオイルの管理は必須。

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センターマフラーは、ノンオリジナル。アイドリング時から、かなり威勢のいい野太いサウンドを響かせる。OHVエンジンならではの、ビートを刻んだサウンドは、迫力満点だ。

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P700スリーポイントハロゲンヘッドライトを装備。カットガラスを採用し、耐久性は現在のポリカーボネイトとは段違い。ヘッドライトは「H4」式バルブを使用している。

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スモールランプ点灯。カットガラスのため、ムラ無くユニット内に照射される。

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ヘッドライトロービーム点灯。決して明るくはないが、雰囲気は満点。最近では、視認性向上のため、HIDランプを装備している「MINI」も見かけるが、クラシカルな雰囲気は、ハロゲンに限る。

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アーモンド形のクラシカルなショートタイプのテールランプを備える。ターンシグナルは上部。下部は、テールランプとブレーキランプの兼用タイプだ。

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バックランプは吊り下げ式。なんともクラシカルな部位である。

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オーナーの趣味により、レースシーンでもおなじみの英国コブラ製COBRA CLASSIC LEATHERのフルバケットシートが組み込まれている。スライドは可能であるが、リクライニング機能はなく、埋め込まれるようなホールド性を実現している。

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イタリア「ナルディ」のクラシックウッドステアリングに、スミスのセンタメーターを備えるミニアムなコクピット。スピーカーもオーナーが埋め込んだもので、ノンオリジナル。

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スミスの3連メーターは、左から、水温計、中央の大型速度計、油圧計の順。往年の計器メーカー「スミス」は、英国の電装メーカー「ルーカス」社に吸収され、その後は、アフターパーツをライセンス生産。

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クロームベゼルに繊細なデザインの指針などは、クロノグラフの趣である。盤面はガラスを使用し、耐久性も高い。夜間照明は透過光照明ではなく、5Wの電球を2個使用し、盤面の隙間から光を間接的に当てるもので、正直暗い。

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センターコンソールにはシンプルな操作スイッチが並ぶ。ヘッドライトも一番右のスイッチで点灯する。夜間照明は未装備である。

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ロングストロークのシフトレバー。4速マニアルは、適度にクロスしており、コツさえ掴めば小気味の良いシフトを楽しめ、この上なく楽しいものだ。

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アクセルとブレーキの位置関係は、なんとも絶妙で、重めのブレーキと相まって「ヒール&トウ」も気持ちよく決まる。50mも走ると、小さなボディを操る楽しさに、現代のイージーなクルマがしらけて感じる。

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この顔つきは、「MINI」以外何者でもなく、小さくても佇む姿は、世界の名車100選に選ばれるもの。

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現代の安楽なクルマになれた方には、正直クラシック「MINI」の運転は難しい。踏み応えのあるクラッチを踏み、シフトをローに送り込む。999ccの水冷直列4気筒OHVエンジンは、低速トルクが太いため、発進は、ググッと飛び出すが、クラッチはやや唐突につながるもの。2速は、時速70キロ付近まで伸び、使用領域が広い。2.3速のギア比は、適度にクロスをしており、ワインディングでは、武器になり、実に楽しい。乗り始めてすぐに上り急勾配とタイトベントが連続するルートが表れるが、最高出力42ps(31kW)/5250rpm、最大トルク6.8kg・m(66.7N・m)/2600rpmは、数値上では非力をいがめないものの、680kgと軽量のため、上り勾配でもグイグイ速度を持ち上げ、非力感は皆無。小さなキャビンには、盛大に吸気音、排気音が入り混じり、最高のBGMとなるが、現代の静かなクルマになれた方には、少々我慢を強いられる。

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前:ウィッシュボーン+ラバーコーン、後:トレーリングアーム+ラバーコーンのサスペンションは、一般的な金属ばねではなく、ゴムを使用。最小のストロークで最大のエネルギー吸収量を得られる。現在のレベルから比較しても非常にクイックなステアリングは、まるでゴーカートのよう。下りのワインディングでは、数倍の排気量をもつスポーツカーも敵ではなく、道を譲らせることなど腕さえあれば、朝飯前だ。たまたま、前方を走行していた「トヨタ86」も、タイトベントが連続する下りでは、「MINI」の追撃に降参したほどだ。この、ほとんどロールをしないサスペンションは、段差では、少々跳ねるが、水を得た魚のようにクイッと小さな鼻先の向きをかえる。パワーステアリングは、装備されないので、可愛いだけでは、乗りこなすのにそれなりの覚悟が必要であるが、このダイレクトなフィーリングは、「MINI」独自のものだ。

ミニ・クーパーは、1964年、クーパーSでは1965年、1967年のモンテカルロ・ラリーで、あのポルシェなどスポーツカーなどを抑え、総合優勝している。乗れば、その高い潜在能力を納得できるだろう。自動車初心者には、オススメできないが、マニアル車運転暦もあり、少々のメカニズムが理解できる方には、すぐに馴染めるはず。基本的な整備され行えば、想像するほどのトラブルもなく、普通に使えることも可能。

取材協力:Crystal Kingdam オーナー望月裕之氏 http://blogs.yahoo.co.jp/sdmgb947


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